自分が就いたことのない職業の裏側って興味深くないですか?私はテレビで色んな職業を紹介する番組を見るのが大好きなんです。
かく言う私もちょっと変わった?仕事をしていました。それはクルーズ船のクルーです。今や人気のクルーズ船で客室係として働いてきた私が、クルーズ船で働くってどんな感じか、客室係の仕事を紹介して、お伝えしたいと思います。
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[voicel icon=”https://tabiyukeba.com/wp-content/uploads/2017/06/usaco.jpg” name=”ケイ”] この記事はわたくし、ケイが書きました。 [/voicel]
[voicer icon=”https://tabiyukeba.com/wp-content/uploads/2016/09/384bbe9694478b665c747cd3b71c4cef-150×150.jpg” name=”管理人晴子”] ケイさんは、某有名豪華客船の元客室係だったんですって。現在は1児の母にして、駆け出しのライター、翻訳家なんですよ。[/voicer]
ホテルの客室清掃とは一味違った客室係
ホテルの部屋掃除は”ハウスキーピング”と呼ばれますが、クルーズ船の客室係は”ステートルームスチュワード”と呼ばれます。女性ならスチュワーデスになりますね。
スチュワーデスと聞くと、今でいうフライト(キャビン)アテンダントを思い出しませんか?
客室係は単なる清掃係にプラスアルファの役目が乗っかります。飛行機内でフライトアテンダントが乗客のお世話をするように、客室係もクルーズ船で乗客のお世話をします。
いうなれば客室係=乗客の執事です
客室係は乗客の要望にお答えする執事のような、ホテルで言えばコンシェルジュのような役目を担います。
例えば、部屋で紅茶を飲みたいという乗客がいれば、代わりにルームサービスをオーダーする。そしてまた何か注文したいときのためにオーダーの仕方を説明します。
紅茶を用意して運んで来るのはルームサービス係。そして飲み終わった後、食器を部屋から片付けるのは客室係の仕事で、その食器をバックヤードに戻して洗うのはルームサービス係の仕事。という感じです。
中には洋服のクリーニングサービスを利用する乗客もいます。乗客はクリーニング店に自分の服を持って行って・・・なんてしなくて大丈夫!指定の袋に入れて客室係に渡すだけ。出来上がったら部屋までお届けします。もちろんクリーニングするのは専門のスタッフですが。
客室係は船上のあらゆるサービスを乗客にスムーズに利用していただくサポートをします。
もちろん客室係=清掃係でもあります
とは言え、メインの仕事は気持ち良く滞在していただけるよう、部屋をキレイに掃除する事です。この仕事はホテルのハウスキーピングにあたるかと思います。
客室係は1日2回、朝と晩に各客室を掃除します。朝は部屋の掃除とベッドメイキング。
皆さんがホテルに宿泊する時に、最初に部屋に入った状態のベッドを思い出してください。枕が立てられてて、フットカバーがかかってて…毎朝ベッドをその状態にします。シーツの交換は基本的に2~3日に1回です。
苦労する点が、乗客の荷物です。大体1週間から10日間ほどのクルーズが多かったのですが、中には1ヵ月乗る乗客もいました。そうなると増えるのが荷物です。持ってきていたもの、寄港地で買ったお土産。
狭い客室が荷物で埋まっていきます。ホコリをはらうにも小物をのけて・・・大きなスーツケースを動かして掃除機。中には服は脱いだまま床にバサッ、靴は右足はそっち、左足はそっち・・・なんて方も。乗客の不快にならない程度に整理整頓もします。

客室係はお掃除もします
夕方のサービスは就寝準備
夕方にももう一度掃除をします。ただ朝にしっかり掃除しているので、夕方は簡単に済ませます。(もちろん汚れてたらしっかり掃除しますが)
夕方のサービスの目的は、寝るための仕様にする事です。イメージは旅館に泊まると、食事してる間に部屋に布団が敷かれていて、食べて戻るそのまま布団にバタンとできる・・・という感じです。
具体的にどうするかというと、文章で説明し難いのですが、フットカバーを片付け、枕を寝かせて、掛け布団をめくりやすいように折り返します。そうしておくと、部屋に戻ってきた乗客がサッとベッドに入って寝ることができます。
[ad#ad01]客室サービスは24時間オープン
勤務中は大体客室の周りにいますので、用がある乗客は探して声をかけてくださるので、用事を聞きます。
見当たらない時でも大丈夫。私たち客室係はポケベルのを持っているので、鳴らしてもらったらそのお部屋に電話をするか、直接行ってご用を聞きます。
この客室係のサービスは24時間体制です。え!?休憩無し!?というわけではなく、自分が休憩中はスーパースチュワードが代わりに対応してくれます。夜中にトイレが詰まっても、早朝にコーヒーが飲みたくなっても大丈夫です。
楽しいばかりではない仕事
クルーズを楽しみながらお金も稼げる、旅好きにはたまらない仕事ではありますが、もちろん楽しいことばかりではありません。
クルーズ船で働くということは陸上から離れて契約期間中ずーっと船上で生活しなくてはなりません。
私たち日本人は通常約6ヶ月契約を結びます。船上では一通りの設備があるので不便は感じませんが、やはり船上ならではの苦労があります。
まず船酔いです。大きな船なので揺れないと思われる方もいますが、いやいや結構揺れます!ひどい時はまっすぐ歩けないくらい。大きくゆーらゆら揺れます。もちろん慣れや体質もありますが、問題は逃げ場がないこと・・・車酔いなら車を停めて酔いが落ち着くまで休憩も出来ますが、船は止まりません。次の寄港地に着くまでノンストップです。

豪華客船イメージ
家族・友人と離れて過ごす海上生活
船上で生活するということは家族・友人と契約期間中は会えません。
まぁでも今はSNSで繋がってるし、Skypeなんかで顔見ながら話せるよね~と思われるかもしれませんが、いやいや船上のインターネット通信速度はすっごく遅いし繋がりにくいんです!海上にいるのでインターネットは衛星通信です。休憩時間に電波を求めてうろつくクルーをよく目にしました。
また遅さに加えて、コストも・・・クルーは乗客より割引されていますが、たった600MBが40米ドルもします。画質や設定にもよりますが、YouTubeを見たら600MBは1時間もしないうちに消費してしまうこともあるようです。
パケ放題の高速通信に慣れた日本人には辛いと思いませんか・・・?
[ad#ad01]客室係ならではの悩みも・・・
職種によって違ったデメリットもあります。客室係はなんといって、丸1日の休みがない!!基本的にクルーは契約期間中は休日なく働きます。(6ヶ月ぶっ通しで働いて、2,3ヶ月まとまって休みをもらうという感じなので)
ですが他の仕事をしている人達は、順番に1日休みをもらって、観光や買い物を存分に楽しんでました。
つまり、不特定の乗客にサービス行う仕事、例えばウェイター、ショップ店員、エステティシャンなどは、ボスに相談し、1日休みをもらってちょっと遠出して観光に行ったりしてました。
ですが、私たち客室係は乗客のお世話をするので、担当の乗客いるかぎり1日丸々休むことは出来ません。担当の乗客がいないことなんてあり得ないので、観光も買い物も休憩時間内のみです・・・。
[voicer icon=”https://tabiyukeba.com/wp-content/uploads/2016/09/384bbe9694478b665c747cd3b71c4cef-150×150.jpg” name=”管理人晴子”] 仕事中の写真撮影は禁止されていて、当時の写真はほとんどないんですって[/voicer]

わずかな休憩時間に仲間と世界のランチを味わう
でも、楽しみ>苦労なのです!!
もちろん苦労は言い出したらきりがありませんが、1契約終わって、また乗ろう!と思えるのはその苦労を吹き消すだけの楽しみがあるからです。
私の楽しみの1つは寄港地での自由時間です。2,3時間ですべてを楽しむ必要はありません。今回はあそこに行って、次回はこっち行こう・・・とできるのです。
私はたいてい、ランチを楽しむようしてました。友達と連れ立って、お気に入りのレストランに行くこともありますし、天気がいい日はカフェでテイクアウトしてビーチで食べたり、屋台フード食べ歩き、なんていうのも楽しいです。
港に着く日は、ベッドを整えながら、今日は何を食べようかな~前に見たワンピース、やっぱり買っちゃおうかな~とウキウキ。私はクルーズ中、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、バヌアツ、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、カンボジア、香港、台湾、韓国、そして日本を巡りました。
これだけの国を自分で旅行しようと思うとどれだけ費用がかかるか・・・

わずかな休憩時間に現地の味を求めて
世界中からの乗客との出会い
私が客室係になって一番楽しかったことは、世界中からくる乗客と知り合えることです。
航路の関係でオーストラリア人、ニュージーランド人が多かったですが、もちろんアジア人、アメリカ人、ヨーロッパからの方もいらっしゃいます。廊下ですれ違って、今日はどんなことしたか会話を交わしたり、客室で話しながら掃除したり。
航海が長くなると、話題は広がっていき、プライベートな話まで聞かせてもらえる事もあります。大体40人前後の乗客を一度に担当しますから、私が今までに出会った方はスゴイ数になってます。
そんな皆さんからいただいた感謝のメッセージは宝物です。

世界中のお客様から感謝のお手紙を頂きました
え~でも客室係なんてお世話してくれる人がつくのはスイートルームとか高い部屋だけでしょ?私には関係ないわ~なんて思わないで下さい!客室係はすべての部屋につきます。スイートルームでも、船内内側の窓無しの部屋でも!でもこれは私が働いていた某大手クルーズ船の話なので、すべてのクルーズ船に客室係いるかは断言出来ませんが・・・
最後に
豪華クルーズ船の客室係は清掃係であり、専属執事でもあり、コンシェルジュでもある・・・毎クルーズで担当する乗客が入れ替わる・・・飽きる暇がありません。
今は私は無期限の育児休暇中ですが、子どもが巣立ったらまた働きに行こう!!と思うくらいステキな仕事です。
クルーズ船ならではの客室係という面白い仕事があるんだな~と知っていただけたらうれしいです。
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