1泊あたり料金がリーズナブルな外国船に乗りたいと思って、ダイヤモンド・プリンセスのショートクルーズを探してみると、最も短いクルーズで5泊6日、よくある日数では8泊9日くらいなんですよね。よくみると、必ず釜山(韓国)か台湾かサハリンが寄港地に含まれています。
外国船のクルーズはどうして外国へ寄港するのでしょうか?調べてみました。
カボタージュ規制とは?
外国船が日本国内だけ寄港してクルーズを完結できない理由・・・どうやらカボタージュ規制という、交通に関する規則があるようです。
国内の2地区間を運航することをカボタージュと言い、外国の航空・船舶会社に対し自国の領域内で運航許可を与えない権利(カボタージュを規制する権利)が、国際条約で認められています。そして日本では、船舶法において外国船舶によるカボタージュを原則禁止としているのです。
つまり、資本力のある外国会社に国内市場が奪われないように、規制を設けて日本の船を保護しているのです。これはクルーズ船だけでなく、貨物船についても同じです。
規制が廃止されるとどうなる?
ヨーロッパではこのような規制が廃止されたため、価格戦争の末、いまのようなリーズナブルな船が増えたそうです。日本でも規制が廃止されれば、外国船で週末ワンナイトクルーズができるようになるのでしょうね。
しかしそれが原因で、飛鳥Ⅱ・にっぽん丸・ぱしふぃっくびいなすのサービスの質が落ちたり、日本船の良い所を維持できなくなってしまうのは、個人的には歓迎しません。
ですが、カボタージュ規制がなくなることによって、代わりに国内法規の制約を免れることが期待できます。国内法規の制約とは、
- 航海士・機関士は日本人に限定
- 60日に一度、海外に出る義務
- 同一寄港地や同じ航路のクルーズは年3回まで(定期船との差別化のため)
- 安全運航管理者の常設義務付け
- カジノの禁止
- 消費税の付加
などです。もし船内のカジノで収益を得て、船内で免税品を売ることが出来れば、外国船との価格競争に対抗できる可能性が高まるわけです。
海運業界のカボタージュ規制緩和の可能性は?
日本でも航空業界ではすでに、2007年に地方空港と韓国・タイと、2010年に日本全域とアメリカとのカボタージュ規制を完全撤廃したのを皮切りに、2016年現在では28か国・地域と自由化しています。その結果、私達はLCC(ローコストキャリア)の航空会社を利用できるようになりました。
そして現在のところ、日本の大手航空会社2社は、自由化の後もこれまで通り経営を維持しているように見えます。
クルーズ船の場合も、カボタージュ規制を廃止したからと言って、必ずしも日本船の経営に悪影響だけを与えるとは言えません。しかも、飛鳥Ⅱの後継となる飛鳥Ⅲは、日本船籍ではないという噂もあり、実際にそうなった場合は、にっぽん丸とぱしふぃっくびいなすが不利になる規定の見直し→規制の緩和、もあり得ると考えます。
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