海賊って、私たちにとっては漫画や物語の中の話で、現実にいるのかどうかもよくわかりません。海賊が現代にも存在するとしたら、豪華客船なんていいカモになってしまいそうでうすが、実際のところはどうなのでしょうか?

飛鳥Ⅱ
海賊の定義
平和に暮らす私達には縁遠いけれど、海賊は現在でも普通に存在するらしいです。
まず「海賊船」の定義ですが、どの国にも籍がなくどの国も法的な支配が出来ない船のことで、「海賊行為」とは、どの国の支配下にない海「公海」において、船舶や航空機とその乗組員や旅客に対して行うすべての不法な暴力・略奪行為のこと。
もっとシンプルに言えば、どこの国の領域と定まっていない海で、無国籍の人が善良な人にヒドイことをすることですね。このヒドイことってのが、漫画や物語のようなロマンチックさの欠片もないのが現実のようです。
海賊多発地域とは
もっとも有名なのが、ソマリア沖です。ソマリア沖はインドの西側付近にあります。こう言ってはなんですが、「ソマリア」というだけでもう、日本人が近づけない危険なイメージです。
インドネシア・スマトラ島とマレー半島に挟まれるマラッカ海峡も有名です。
客船がヨーロッパに向かう際には、ソマリア沖の航行が避けられないようで、豪華客船は海賊のターゲットに十分なり得ます。海賊対策なしにここを通ることはできません。
飛鳥Ⅱ2015年世界一周クルーズの場合
日本で最大の豪華客船である飛鳥Ⅱは、世界一周クルーズを1996年から19年間毎年行ってきました。開始した当初は安全なコースはいくらでもあったのですが、世界情勢が悪化した近年では、海賊を警戒したコースをとりながら、内容に変化を持たせるのに限界があったようです。
2015年のコースでは、ついに意を決してソマリア沖を航行するルートを選択。しかしながら、危険海域に差し掛かる前に、乗客を陸に降ろし飛行機で移動させるという手段をとりました。希望者だけでなく、全員を強制的に、です。
パンフレットには、当然「危険海域を避けて陸路で」などとは表現しておらず、ドバイ観光を含むなど「楽しい陸路ツアー」といった雰囲気を前面に押し出したものでした。それでも、多数のキャンセルを避けることが出来ませんでした。ちょうどそのころ、外国のクルーズに参加していた日本人客が、チュニジアでテロ被害にあってしまった影響も大きかったと思います。
さて、少ない参加者ながらも陸路ツアーを含んだ世界一周クルーズに出航した飛鳥Ⅱですが、エンターテイナーとして乗船した沖縄の歌手、普天間かおりさんのブログからは、護衛艦とヘリコプターに守られ、海賊対策をとりながら危険海域を航行する生々しい様子が伝わってきます。彼女はお客さんではないから、陸路ルートをとらなかったのでしょうか。船内の人に対して以下の対策が求められたようです。
- 保安訓練の実施
- 昼夜を問わず、オープンデッキとベランダには出てはいけない
- 窓際には近づいてはいけない(レストランの窓際の席を窓から離す)
- 各部屋のカーテンは閉め切り、室内の灯りが漏れてはいけない
- 外部に向けて夜間のフラッシュ撮影は禁止
- リアルタイムでの具体的な船の位置など、外部への情報発信の禁止

護衛艦イメージ
普通の日本人は、一生に一度も経験しないだろう緊迫した事態ですね、これは。
残念ながらこのクルーズを最後に、日本船による世界一周クルーズは行われなくなってしまいました。私達夫婦が定年退職する頃には、また世界一周クルーズが復活する平和な世界でありますように。
2017年3月8日追記:飛鳥Ⅱは2018年に3年ぶりの世界クルーズを行う事が決定しました!
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